Amazon S3を使ってデータのバックアップができるサービスの比較みたいなもの

HDDに初めて触ったのは、中学2年生のときだろうか。

当時、私は事実上つぶれていたコンピュータプログラミングサークル(C.P.C.)というクラブを友人に誘われて再興し、PC-8001, MZ-2000, PC-8801, PC-6001などを白黒(もっと正確に言えば緑黒だったりもする)のディスプレイに繋ぎ、BASICでプログラミングを楽しんでいた。
共にサークルを立ち上げた友人の父親の会社からお下がりのパソコンをもらえるということで、IBM製の機種は忘れたがマシンをもらった。OSにはWindows3.0Aか何かが入っていたと思う。
そのマシンにHDDが入っていた。
それまで8インチと5インチのフロッピーディスク、及びテープレコーダにプログラムやデータを保存してきた身としては、HDDの容量の大きさや早さに驚いたものだ。
その容量たるや40MB。笑ってはいけない。これでも革新的だったのだ。

それから1年ほど経った中3の冬。阪神淡路大震災の直前に私はお金をため、自分のPCを購入することができた。
 PC-9821Ce2/S2 HDD容量170MB
とうとう憧れのHDDが我が家にもやってきた瞬間である。

それ以来、私とHDDとの付き合いは続いている。
PC-98用としては初めてのHDD専用のゲームソフト、ルナティックドーンの無限のマップに感動したことはとても鮮明に覚えている(ルナドン2にはかなりはまった。セーブデータも改造しやすかったし・・・)。
それから15年余り。
現在、自宅にあるPC(7台)の容量は全て足すと恐らく1TBを超えるだろう。
職場でメインに使ってるPCに至っては容量80GBのうち70GBほどが使用済みだ(これはただ単に使い方が悪い)。

これだけHDDとの付き合いが長く密度も濃いのだが、幸運なことに今までHDDが故障したことが一度もない。
ただの一度も、である。ライトユーザである奥さんのHDDは壊れたと言うのに。

これだけ多くのHDDトラブル報告がある昨今において、これは珍しいことではないだろうか。
恐らくHDDと私は、きっと特別な縁で結ばれているのであろう。

そんなわけで、私はHDDのバックアップをとるという習慣がなかった(もちろん仕事上は別。今回はプライベートの話)。
ただ、上述したように奥さんPCのHDDが壊れ、中のデータを復旧できなかったりしたのを目の当たりにすると、やっぱりバックアップ必要かもなと思ったりした。

どうせ取るならバックアップは物理的距離の離れたところに置いた方がよい。
LAN上のNASにバックアップをとっていたとしても、「地震・雷・火事・奥さん」によって全てが破壊されることがあり得ることは容易に想像できる。
というわけで、Amazon S3にバックアップを置こうと考えた。

とは言ったものの、私のHDD上にそれほどの価値のある情報はあまりない。
なくなるとちょっと悲しいのは、デジカメで取った写真と再度CDから取り込むのがめんどい音楽データぐらいのものだ。
他のデータと言えば、メールはずいぶん前からGmailのみだし、住所録はRipplexだし、ふと思い返してみれば個人データをずいぶんとネット上に置いているもんだ。
画像も、フォト蔵とかにおいてたりするんだけど、フォト蔵は一括ダウンロードがないので、バックアップと呼ぶにはちょっと不適合である。

というわけで、Amazon S3に画像や音楽のデータを置くに当たってどのようなサービスが使えるかを調べてみた。
Windows XP, Mac OS X, Linux(Ubuntu 9.04)の全てで扱えることを前提としている。

以上が、現状で選びうる方法だと思う。

これらのサービスを評価選択する上で、

  • 出来るだけ安価なこと
  • そのサービスが予告なく終了しても(Doblogしても)データが取り出せること
  • iTunes Musicフォルダを置いた際、iTunesでそのままライブラリとして使うことができること
  • を重点に調べてみた。

まず、値段に関して。
基準となるのはAmazon S3をそのまま使う場合の値段。
で、JungleDiskはAmazon S3の課金+最初に20ドルもしくは月々2ドルという課金体制。
これは十分許容範囲。
Dropboxは現在使ってるのが5GBまで無料(普通は2GBだがたぶんβから参加してたおかげで5GB)。それじゃ足りないだろうから課金するとして、50GBで10ドル/月。
ZumoDriveも50GBとすると、12ドル/月。
単純な値段だけで比較すれば
S3 < JungleDisk < Dropbox < ZumoDrive
だが、DropboxとZumoDriveは転送量がいくら増えても値段が一定というメリットがある。
例えば、iTunesのライブラリを置く場合を想定してみよう。
Genius機能などを用いて、ユーザの好みの音楽がどういうものかをiTunesが判断するとき、恐らく(想像ではあるが)ライブラリ内の音楽ファイルを網羅的にアクセスして、どのような音楽ファイルが存在するのかを横断的に調べるのではなかろうか。
JungleDiskの場合、こういったプログラムが勝手に行うバックグラウンドのアクセスであっても、それがキャッシュ上になければその分課金がプラスされるということになると思われる。

次に、サービスが予告なく終了しても(つまりDoblog状態になっても)データが取り出せるかどうか。
Amazon S3をそのまま使う場合は、Amazon S3が突如死んだらどうしようもない。
Dropboxの場合は、データはローカルにも存在するので安全。
ZumoDriveの場合は、データはローカルには存在せず(キャッシュはあるが)、またAmazon S3のアカウントも自分のアカウントを使うわけでもないので、ZumoDriveが死んだ時点でアウト。もちろんAmazon S3が死んでもアウト。
JungleDiskの場合は、使い方次第だが私が想定しているネットワークドライブとして利用する場合、データはローカルには存在しない(キャッシュはある)が、Amazon S3は自分個人のアカウントなため、他のツールを使って救済が可能。JungleDiskの古い紹介記事にはよく「独自形式のため他のツールと互換性がない」と書かれているが、現在のJungleDiskは独自形式と互換形式を選択できる。もちろんAmazon S3が死んだらアウトだが。
よって、比較してみると
Dropbox > S3 == JungleDisk > ZumoDrive
となる。

最後にiTunesでの使い勝手。
Amazon S3をそのまま使う場合、iTunesはS3上にあるライブラリをそのまま利用することはできない。
Dropboxは完全にローカル上にデータがあるので、もちろんDropbox内にiTunes Musicフォルダを置いてそのままライブラリとして利用できる。
ZumoDriveでは、iTunesでZumoDrive上にあるライブラリをそのまま利用できる。・・・と公式サイトで謳っているので恐らくできるのであろう。実際には試していない。
JungleDiskでは、iTunesでJungleDisk上にあるライブラリをそのまま利用できる。・・・と書きたかったのだが、何故かiTunesからライブラリを読み込めない。詳細設定で、iTunes MusicフォルダをJungleDisk上にコピーしたiTunes Musicフォルダを指すように指定しても、そこにある音楽ファイルがiTunes上に現れてくれない。実際には出来ているという報告もブログであがっていたりする(ちょっと古く独自形式しかない時代の記事)し、理論上できそうな気がするのだが。もしかしたら、JungleDiskの独自形式を使ったらできるのかもしれない。
よって、比較してみると
Dropbox > ZumoDrive > JungleDisk >= S3
となる。

で、実際の使い勝手等の総括。
当初は、「Dropboxみたいにローカルに容量必要とするのってもう時代遅れだよね」とかって考えてて、互換モードのできたJungleDiskを使う気満々だったのだが、実際に画像数百枚と音楽1千ファイルぐらい置いて使ってみた感じ、やっぱりモッサリしすぎだなーって思った。
画像ってやっぱり次の写真とかがスムーズに見えた方がいいよね。ためしに奥さんに昔行ったシベリア鉄道旅行の写真見せてたら、写真読み込み遅すぎて苛立ってた。
音楽もたぶんそうなんだろうな。今回は成功しなかったけど、iTunesでS3上にある音楽ファイルをそのままライブラリとして読めるとして、パーティシャッフルとかで次のファイルに行ったときにいちいちダウンロードする間待たされることになりそう。iTunesのプラグインとしてS3用のがあってStreaming再生できたり先読みする機能あったりすれば話は別になるんだけど。

というわけで、今回はDropboxに課金してバックアップ取ることにする。
もちろん、これは私個人にとっての選択であって、万人にとってこの選択が正しいというつもりは毛頭ない。

また、この記事を書いている途中に、JungleDiskの代替になりそうなオープンソースソフトs3DAVを発見してしまった。
こちらはこれから試すが、よさそうならよく使うデータはDropboxに、殆ど使いそうにないが一応取っておきたいデカイデータはS3にという使い分けをするのもいいかもしれない。

追記:

JungleDisk上のデータをそのままiTunesでライブラリとして読み込むのはできた・・・と思う。「と思う」というのは、「読み込み中」と出たまま全音楽ファイルをDLしていたため、時間がかかるのでキャンセルしちゃったから。たぶんあのまま待ってれば出来るんでしょう。

s3DAVはプロキシを超えられないっぽい?Java製なんでhttp.proxyHostとhttp.proxyPortを指定してやってみたけどダメっぽかった。

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